発達障害・SST

子どもの発達障害の検査はどこで?費用は?時間は?どんな検査がある?

もしかしたら発達障害・・・?

子どもの発達が気になり、もっと詳しく知りたい場合、子どもの発達を数値化してくれる心理検査・発達検査があります。あくまでも今回紹介する検査は一側面の検査になるので、発達障害か否かが数値化されるわけではありません。

心理検査・発達検査ではIQなどが結果として出てくるので、結果の数値を見て落胆したり、逆に結果が良くて安心したりする方もいますが、心理検査の結果で見るべきはその数値ではありません。

今回はそんな心理検査、発達検査について詳しくまとめていきますね。

発達障害の心理検査をする意義

心理検査や発達検査は、子どもの頭の良さ、頭の悪さを知るためにするのではありません。結果が良かったから安心、悪かったから残念・・・と言う受け止め方はしないでおきましょう。

発達障害の心理検査をする意義は、

子どもの特性を知り、教え方のコツや育て方のヒントを発見する手がかりにすること

子どもの今の状況が、同年代の子どもと比べて遅れていないか、どんなことが苦手でどんなことが得意なのか、日々の困り感の原因はどこにあるのか、保護者として教師としてどんなことに気をつけて支援したらいいのか、このような情報が「心理検査」から得ることができます。

子どもの実態を掴み、今後の教育や支援に生かしていくために検査は行われているのです。

心理検査・発達検査のあれこれ

心理検査・発達検査はどこで受けられる?

心理検査・発達検査は、福祉、教育、医療機関で受けることができます。

具体的には、公立の療育センター、教育センター、発達支援センター、児童相談所、発達に関する診察を受け入れているクリニックや総合病院の発達外来、児童精神科などで相談することができます。

また、発達の遅れや偏りを持つ子どもの相談や療育を行っているNPOや民間の療育相談機関でも受けられるところがあります。

現在、学校でも簡単な検査を実施してくれる学校もあります。

現在日本では心理検査・発達検査を行うのに必須資格はありません。しかし、ほとんどの場合は大学や大学院で心理学を学んだ上、臨床心理士・臨床発達心理士・学校心理士・特別支援教育士の資格を持った人たちです。近年国家資格である「公認心理師」の資格も新たに作られ、その人たちの専門でもあります。

心理検査・発達検査の費用は?

心理検査・発達検査の費用は、的相談機関では基本的に無料で受けることができます。ただし、希望者が多いため、予約が何ヶ月も先になってしまうこともあるようです。

医療機関では、保険適用か保険外かによって大きく異なります。民間機関では基本的に有料のところが多く、1万5千円〜2万円が目安になっています。機関によってできる検査内容や待ち時間、面談の時間なども異なるため、予約の際に聞いておくとよいでしょう。

心理検査・発達検査にかかる時間は?

実施期間は検査の種類や子どもの年齢によって違いますが、おおむね1時間前後が目安で、長くても1時間半ほどです。

個人差はもちろんありますが、それ以上長時間になると、疲れてしまい、実力が発揮できない可能性も出てきます。

心理検査・発達検査の種類は?

幼児期は新版K式発達検査、学童期はWISC検査が一般的な検査とされています。しかし、他にも様々な心理検査があります。

幼児期

  • 新版K式発達検査2001
  • 田中ビネー知能検査V

学童期以降

  • 田中ビネー知能検査V
  • WISC-Ⅲ・Ⅳ
  • KABC-Ⅲ
  • DN-CAS認知評価システム

その他の発達の状態に関する検査

  • ことばの発達に関しての検査 ITPA言語学習能力診断検査・絵画語い発達検査(PVT-R)
  • 人物画を描いてもらうことで発達のようすを見る検査 グッドイナフ人物画知能検査(DAM)
  • 目からの情報をまとめる力を測る検査 フロスティッグ視知覚発達検査
  • 特性の障害が疑われる場合の検査 広汎性発達障害評定尺度(PARS)・小児自閉症評定尺度(CARS)
  • 社会生活能力の様子をしるための検査 旭出式社会適応スキル検査(ASA)

検査結果について

検査結果の説明は、基本的に結果面談として時間が取られ、数値や特徴などの説明を受けます。

検査時に子どもがどう取り組んだか、全体的な結果(IQや精神年齢)、子どもの中の得意/不得意の偏りの傾向、特徴などの説明があります。心理士はこれらの結果を踏まえ、過程や集団での配慮や支援が必要な面、それらに対しての実際の手立てなどのアドバイスをしてくれます。

初めて子どもが心理検査を受けるとき、複雑な思いを持たれる保護者の方はかなり多いです。しかし、あくまでも子どもの支援やサポートを考えるための参考資料として聞いていて損はありません。

結果の数値などは書面で渡してくれるところもありますが、口頭説明のみの場合もあります。園や学校と共有する場合はメモをとっても良いか確認しておきましょう。

心理検査・発達検査の再検査について

心理検査は、一度受けたら終わりというものではありません。子どもは様々な経験を積み重ね成長発達し、加齢による色々な変化があります。間隔をあけて検査を受け直すことで、正しく子どもの姿を把握することができます。

受け直す期間は少なくとも1年間、できれば2年間ほどあけて再検査することが推奨されています。あまり検査の間隔が短いと、子どもが内容を覚えている「学習効果」と言われ、本来の数値より高く出てしまう可能性があるからです。

逆に、3年以上前の検査結果を現在の教育や支援に活かそうと思っても、参考にはなるものの、現在の実態を捉えるにはあまり適切ではないと考えられます。

主な心理検査・発達検査

WISC知能検査

5歳以降に心理検査を受ける場合、知的発達が年齢相応だけれどアンバランスさがみられる場合このWISC-Ⅳを行うことが多いです。

WISC-Ⅳの4つの指標を元に測定していきます。

言語理解(VCI)・・・言葉をまとめて考える力、言葉による推理力や思考力、言葉による知識の習得能力

知覚推理(PRI)・・・言葉によらない(資格情報に対しての)推理力や思考力、空間を把握する力、目で見て手で表現する力

ワーキングメモリ(WMI)・・・聴覚的なワーキングメモリ、注意や集中する力

処理速度(PSI)・・・資格情報を早く正確に処理する力、注意視覚的な短い記憶能力、目で見て書く力

偏りが大きい場合、得意な力を利用して苦手なことを身につけることが基本となります。例えば「言語理解」の得点が低く、「知覚推理」の点数が高かった場合、多くの言葉で説明しようとするのではなく、端的で具体的な言葉とともにやってみせるなどの目からの情報で理解を補っていくことなどが考えられます。

新版K式

新版K式では3領域を軸に子どもの発達をみていきます。対象年齢は0歳〜成人までと幅広く設定されています。各領域と全領域の発達年齢と発達指数を導き出し、課題の出来具合と課題間のプロフィール分析を行います。

姿勢運動領域・・・身体を介した外界との関わりの育ちをみる

認知適応領域・・・対象物を目で捉え操作する能力をみる

言語社会領域・・・社会性や言葉による言語・コミュニケーションの育ちをみる

子どもにとってゲーム感覚で取り組める課題が多く、20分〜40分で終わります。しかし、1回ではわからないことも多く、予測立ての域を超えないため、年に1〜2回の割合で発達経過を追い、子どもや家族の思いに寄り添った支援計画を立てる参考にします。

最後に

最後にお伝えしたいことは、

発達検査だけでは子どもの全ては分からない

ということです。あくまでの今後の支援やサポートの参考としての数値や結果であることを頭に置いて受けてみてくださいね。