発達障害・SST

発達障害児は勉強しても無駄!?やる気を失った子どもたち【学習性無力感】

発達障害を持っていることで、学習面がうまくいかなくなることはよくあることです。現在の学校教育でされている知識詰め込み型勉強法、一斉授業だと、発達障害の子どもが困り感を感じることが多く、なかなか思うように成績も上がりません。

つまづいた時に適切な方法で乗り越え成功経験にしていくことで、子どもの成功体験につなげることができます。今回は、発達障害を持っていることで、「勉強しても無駄だ」「勉強を教えても無駄だ」と、やる気を失ってしまった子どもやその保護者に向けての記事を書きます。

子どもがやる気を失っていくプロセス

頑張っても成績は上がらず、授業にもついていけない。ノートやプリントなど、綺麗に書きたい、褒められたいと思っているのになかなかできない。テストで良い点を取って認められたいのに、いつも点数が低い。学校という周りと比較される場面が多い場所だと特に、どうして他の子どもはできているのに自分はできないのだろうと悩みます。

そして、それが積み重なってくると、

  • 「どうせ勉強してもできるようにならない」
  • 「勉強するなんて無駄」
  • 「自分は無能なんだ・・・」

と考え、様々なことに対してのやる気を失っていきます。

“りんこ­”
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いわゆる学習性無力感に繋がっていきます。

学習性無力感とは、長い期間にわたって回避できないストレスを経験することで、その不快な状況から逃れようとする努力すら行わなくなってしまう現象です。

不快だとわかっている状況でも「自分は無力なんだ」と学習してしまい、抵抗や回避しなくなってしまう。この傾向を発見し、「学習性無力感」(英:learned helplessness)と名付けたのがポジティブ心理学者の父であるマーティン・セリグマンです。

保護者も同じように悩んでいるかもしれません。「どうして自分の子どもはこんな簡単なこともできないのだろう・・・」と。そして、その状況が積み重なると、

  • 「どうせ親が頑張っても無駄」
  • 「勉強を教えるだけ無駄だ・・・」

と思い、親からも子どもと向き合う気力を奪ってしまうかもしれません。

“りんこ­”
“りんこ­”
しかし、ちょっと待ってください!!!
  • 本当にやるだけ無駄でしょうか?
  • やり方がその子どもにとって合っていないだけでは?
  • 伝え方が良くないだけでは?

このように親子ともに学習への意欲を失い諦めてしまうケースも多いです。親子で勉強するとなると、距離が近すぎてお互いの甘えもあり感情的になってうまくいかない場合が大多数です。親子で厳しい場合は、第三者を探すのも方法の一つではあります。

具体的に学習を進めるにあたって

では、勉強に対してやる気を失いかけている場合、どのように学習を進めていけば良いでしょうか。大きな流れは観察→実践→検証です。具体的に見ていきましょう。

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勉強がうまくいかない理由を突き止める

「発達障害を持っているから、勉強しても無駄だ」

この考え方には大反対です。

なぜなら、発達障害を持っていても一つずつできることを増やし、成長していく子どもたちを実際にこの目でたくさん見てきたからです。そしてどの子供も潜在的には「できるようになりたい」と思っています。

ただし、発達障害を持っていると、発達にでこぼこがあり、できることとできないことがあるのも確かで、それによって学習が進みにくくなることがあるのも事実です。つまづく場面も多く、学校のような一斉授業の中では理解しにくい部分も出てきます。

まずは、発達障害のどういった面が問題になっているのかを突き止めましょう

子どもを観察する、一緒に学習を進めどこでつまづいているのかを発見する、学校の先生に様子を聞いてみる、専門家を受診したり、心理検査などを受けてみるなどの方法があります。

子どもの発達障害の検査はどこで?費用は?時間は?どんな検査がある?子どもの発達が気になり、もっと詳しく知りたい場合、子どもの発達を数値化してくれる心理検査・発達検査があります。あくまでも今回紹介する検査は一側面の検査になるので、発達障害か否かが数値化されるわけではありません。 心理検査・発達検査ではIQなどが結果として出てくるので、結果の数値を見て落胆したり、逆に結果が良くて安心したりする方もいますが、心理検査の結果で見るべきはその数値ではありません。 今回はそんな心理検査、発達検査について詳しくまとめていきますね。...

やり続けても無駄なことはある!学習方法が大事

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LD(学習障害)を持っていて、算数の能力が低い子どもに、いくら「計算しろ」といって何度も計算をさせても、その学習方法は無駄です

見え方に問題があり、漢字が苦手で正しく書くことができない子どもに、「この漢字を100回書いて覚えなさい」といって何度も書かせても、その学習方法は無駄です

文章を自分で読み、内容を理解することが苦手な子どもに、ひたすら文章問題の練習をさせても、その学習方法は無駄です

このように、やり続けても無駄になることはあります。それは、その子どもに合わない学習方法だからです。発達障害を持っていて、苦手な部分があるのに、そこを無視して無理やり学習を進めようとしても、苦手な部分のフォローをしなければ、決してできるようにはなりません。

実際に「合わないな」と思ったら作戦変更しましょう。一定期間一緒に同じ方法で頑張っても、明らかに進歩が見られない場合は学習方法を見直しましょう。

全てはトライ&エラーで

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勉強をしても全然できるようにならない・・・という状況は、勉強方法がその子どもに合っていないから起こることなのです。勉強がうまくいかない原因をもとに、どうやったらその困り感を解消できるのかを考え、実践していきます。

すぐに子どもに合う学習方法は見つからないかもしれません。しかし、その学習方法が合わないんだと分かることも、一歩前進したということですよね。

できないことをそのまま続けていても結局できるようにはなりません。違った鍵で扉を開けようと何度頑張っても扉は開かないのと同じです。

発達障害の困り感を解消する方法はたくさんの方法があります。もちろんこのオザログでも、様々な事例を取り上げて記事を書いています。そういった情報を参考にトライ&エラー子どもに合った学習方法、支援方法を探っていくことが大切です。

「やっても無駄」なんてことはありません。そのやり方が合わなかった、少し成果があったなどの結果が得られるからです。が、「そのままやり続けても無駄」ということはたくさんあります。うまくいかなかったやり方に固執して強引に進めても無駄です。限りある時間、有効に使っていきましょう!

勉強は目的ではなく一つの手段

「勉強することは子どもにとっての仕事」と聞いたことがあります。仕事の代わりに学業に専念しなさいということかもしれません。確かに勉強することは将来につながりますし大事なことです。でもあくまで1つの手段です。なりたい職業になるための手段、賢く生き抜くための手段、自分に自信をつけるための手段としての勉強です。

学校の勉強ができる=幸せな人生を送れる

とは限りませんよね。勉強することはあくまでも1つの手段であり、どうしても勉強が合わない場合は、日常生活で使う読み書き計算は必要ですが、学業はほどほどに、興味のある分野の専門性を磨く方向にシフトすることもありだと思います。

細かい作業が好きならばネイリストやイラストレーター、「美」が好きであれば美容師やエステティシャン、筋肉やスポーツに興味があるならばジムインストラクターやボディビルダー、発信に興味がある場合はブロガー、ライバー、ユーチューバーなど本当にたくさんの職業があります。学生の間に手を出してみて試行錯誤してみるのも面白いと思います。

嗅覚の感覚過敏がある男の子がその特性を活かして、15歳でコーヒー屋さんを開業するという話も聞いたことがあります。勉強には興味が持てなかったけど、インターネットの世界には興味を持って取り組み学生のうちからインターネットの世界でお仕事している高校生もいます。

「どうしても勉強が苦手だ」と感じたら、学校以外の競争場所を探してみるのもありだと思います。