学校には、通常学級と、特別支援学級の2つが存在します。
グレーゾーンや発達障害の子どもをどちらの学級に入れるかは、学校の体制や親の考え方によって左右されます。
近年は学校もできるだけ柔軟な対応を求められるようになりましたが、学校によって対応はバラバラなので、できるだけ保護者もこういった教育を受けさせたいという考えを持つことは大切です。
その考えを元に学校と話し合い、相互に子どもを見つめながらどういった教育方法で進めるのが一番良いのかを話し合える関係になれるのが理想です。
特別支援学級に入りたいと思ったら?
特別支援学級への入り方も、地域によって多少違うと思いますが、今回は私が小学校教諭として経験してきた兵庫県A市や、大阪府B市、現在住んでいる奈良県香芝市を参考にまとめます。
①小学校一年生から特別支援学級へ
幼稚園の頃から、「発達障害」や「グレーゾーン」の可能性があるといわれてきた子どもの場合、または幼稚園でのトラブルが多い場合だと、小学校1年生から特別支援学級に入れるかどうかで悩まれると思います。
まずは、通っている幼稚園に相談してみましょう。小学校の支援体制が知りたいと思われる方は、小学校見学も可能です。基本的に幼稚園の先生が学校に問い合わせてくれることが多いので、見学したいという件も幼稚園の先生に相談してみましょう。もちろん、保護者の方が直接小学校に問い合わせることも可能です。百聞は一見に如かず、一度実際に見てみるとかなりイメージがしやすくなると思います。
小学校の見学では、通常学級での支援体制や特別支援学級での支援体制を見ることができると思います。クラスへ支援の先生が入り込んでのサポート(入り込み)や、クラスとは別の教室でサポート(抽出)など、どういった形で支援しているのかを見ておきましょう。学校によっては、抽出の時間が限られていたり(理科や社会は必ずクラスで受ける。など)、特別支援学級に入ったら基本的にはずっと特別支援学級で過ごすという学校もあります。子どもの行く学校がどういった支援をしているのか、子どもにあった支援方法はどれがベストなのか、見学することでかなり感じることがあるのではないかと思います。
また、小学校入学をする際、必ず幼稚園の先生と小学校の先生が、次に入ってくる新一年生の様子を伝え合う引き継ぎ会というものが行われるため、日頃から幼稚園の先生との連絡を密にしておくことも重要です。小学校へ入学してからの不安なども、幼稚園の面談の際に担任に伝えておきましょう。
②通常学級から特別支援学級へ
通常学級で今まで頑張ってきたけど、学習面や生活面で様々な困難が出てきて、途中から特別支援学級への入級を考え始めたときは、まずは担任の先生に相談してみましょう。
その際も、その学校の特別支援学級での学習がどういった形で進められているのかを見学することは可能です。
また、途中から特別支援学級に入級する場合、重要なのが子どもの気持ちです。今までの環境とはいろいろと変わってしまう可能性があるので、子どもの気持ちに寄り添うことを忘れないようにしましょう。どうして特別支援学級がいいと思っているのか、通常級とどう違うのかなどを子どもと話し合う場が必要です。双方が納得した形で特別支援学級に入級できるようにしましょう。
特別支援学級を勧められたら?
急に学校の先生から「特別支援学級の方がいいかもしれません。」などと提案されるとびっくりしてしまいますよね。何年か前までは「特別支援」→「障がい者」といった考えが主流だったため、未だに抵抗感を示される保護者の方も多いようです。
しかし、現在は、グレーゾーンといった具体的な診断名はついていない子どもや発達障害(知的に問題がないものも含む)の子どもも特別支援学級に在籍し、その子に必要な支援やサポートを受けている子どもも多くなってきています。特別支援学級に在籍していても子どもによっては、遠くから見守るだけで、困ったら声をかけるようにするという支援だけの子もいます。保護者の方には、特別支援学級に対する抵抗感を感じることなく、子どもにとって何がベストな選択であるのかを考えてみてほしいなと思います。
何よりも私自身、子どもに合わせた教育を行うことが、子どものためになると実感しています。無理して頑張って通常学級にしがみついているよりも、子どもに合わせた教育を受けて「できること」を一つでも多く増やしてあげることが大切なのではないでしょうか。
一度特別支援学級に入ってしまうと、中学校でも特別支援学級で、公立高校も受験できないのでは?といったことも聞かれますがそんなことはありません。少なくとも大阪府や奈良県香芝市では実際に小学校は特別支援学級在籍、中学校から通常クラスで頑張っている生徒もいますし、中学校も特別支援学級に在籍したのち、公立高校を受験し合格。現在その高校に通っている生徒もいます。
特別支援学級のメリット・デメリット
特別支援学級に入るか入らないか、これについては正解はありません。一人ひとりの困り感も違いますし、学校の体制によっても選択肢は変わるかなと思います。私が考える特別支援学級のメリットデメリットをまとめておきますので、参考にしてもらえたらと思います。
特別支援学級のメリット
・子どもに合わせた学習ができるため、できることが増える。
・できることが増えることで子どもの学習意欲の改善。
・子どもの不安感や学校への緊張感を和らげることができる。
・クラス担任に加えて特別学級担任にも見てもらえるので、子どもを多面的に見てもらえる。
・学年を越えた同じような特徴を持つ子どもや保護者と友だちになれる可能性がある。
特別支援学級のデメリット
・抽出で支援する場合、通常学級の友だちとの関わりが少なくなってしまう可能性がある
・子どもが納得せずに入級してしまった場合、他の友だちとの疎外感を感じてしまうことがある。
・あってはならないことだが、「特別支援」→「障害児」などの捉え方をする子どもがいる場合トラブルにも。学校全体で見直すことが必要。
特別支援学級に入級するかどうか
最終的に入級するかどうかは、本人の気持ちが一番大切だと思います。
大人から見て「しんどそうだな・・・」「授業についていけていないな・・・」と思うということは、子ども自身もしんどさを抱えていることが多いです。「自分は馬鹿なのかも?」そんな風な悩みを人に相談できずに悩み続けている子もいます。そのしんどさを理解し、どうやったら快適に楽しく学習できるかを一番に考えているんだということを子どもに伝え、一緒にどうしていくか決められるのがベストでしょう。
一時期、ダウン症の子供を特別支援学校に入れるか、公立の小学校に入れるかで問題になったこともありますが、結局のところ正解はありません。おそらく特別支援学校に入っても「公立学校の方が色々な経験ができるのに」「地域の子どもたちと友達になりにくいからかわいそう」といった批判的な見方をする人はいますし、逆に公立小学校に入れても「もっと手厚く支援してくれる特別支援教育の方がいいのに」「みんなと一緒にできないのに公立小学校入れられてかわいそう」という批判的な見方をする人がいます。
どんな選択をしても反対の意見を言ってくる人は必ずいます。しかし、そこで大切なのは、当事者とその保護者がその選択に納得しているかどうかだと思います。そして、その環境が良くないと感じたら、その時に変えていけばいいのです。
特別支援学級を選択するのも、通常学級を選択するのもどちらもより良い教育を受けるための選択です。どちらかを選択して、本当にその環境が子どもにとって良いものかどうかを判断し、違えばその都度考え変えていけば良いのです。